2011/01/08

◆日本清酒発祥の地・菩提山「正暦寺」

         

◆伝説のお酒を復活させる作業を拝見しました

500年ほど前、興福寺の荘園を管理していたのが、
奈良の東南山麓にある菩提山「正暦寺(しょうりゃくじ)」です。

そこでは、荘園から納められる「米」と境内を流れる「清き水」で、
伝説に残る名酒「菩提泉(ぼだいせん)」が造られていました。

いつしか消えた幻の酒を復活させようと、
平成11年に「菩提泉」の元になる「菩提元」造りが始まりました。
毎年1月上旬に作業が行われていますが、今年は8日でした。


手順は、周辺で収穫された「ヒノヒカリ」の洗い米と水に
「正暦寺」独持の乳酸菌を加えて、30℃で3日間置きます。
再び米と水に分けますが、この水は「そやし水」と呼ばれ、
酵母が生き続けることができる酸性水です。

米を50分蒸し上げ、地面に広げて42℃まで冷まします。
「そやし水」と「麹」を混ぜたタンクの中に、冷めた蒸し米を入れて、
あとは熟成するのを待つだけです。

僧侶のみなさんが10日間寝ずの番をして、出来上がった「菩提元」は、
各蔵元に配られ、それぞれの味を造り上げるのだそうです。

「正暦寺」の御住職たちは、作業着から衣姿に着替えられ、
よいお酒ができることを祈願した読経があり、行事は終了しました。

「正暦寺」に菌が生きていたこと、奈良県工業技術センターの
協力が得られたこと、そして多くの方の熱意が集まったことが
「菩提元」復活の“元”でしょう。


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