◆家計簿から伺い知れる家族の物語です「武士の家計簿」の映画が公開中ですが、原作の新潮新書の
『武士の家計簿-「加賀藩御算用者」の幕末維新-』(磯田道史著、新潮社)は、
武士の貴重な生活史で、一読の価値ありです。
金沢藩(加賀藩)・猪(いの)山家に残る、家計簿を含んだ古文書、
天保13年(1842年)~明治12年(1879年)の37年間にわたる記述を
数字を基に、著者の磯田道史氏が読み解いたもので、
激動の時代に生きた三代にわたる暮らしぶりがよくわかります。
猪山家の家計は“火のくるま”。その中での食事情といえば---。
長女の数え2歳の「髪置の儀式」では、
「赤飯と大鯛」を用意する習わしなのに、絵に描いた鯛が登場。
また、長男の産後七夜の席では、春の山菜の季節だったらしく、
「小鯛」とくるみやレンコン、クワイも出されています。
病気のときには、借金をして「なし、みかん、たらこ」を食べさせたようです。
やがて明治の文明開化の頃には、家計も豊かになり、
牛肉を取り寄せたり、毎朝、牧牛会社へ牛乳を飲みに出かけたり。
家計簿の数字からは、家族の物語や思い出が見えてきます。
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